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フリーター化する社会

2007年10月25日の「稚内 憲法を学ぶ会」第13回学習交流会
<フリーター化する社会--格差社会の基礎としての労働市場>
で報告した内容を同会の会報用に文章化したものが以下。

 ***********************************

1.大学非常勤講師の経験
■フリーターとしての専業大学非常勤講師
 首都圏や関西圏の大学の授業の半分は非常勤講師が担っており、その非常勤講師のおよそ半分が本業をほかに持たない“専業”の非常勤講師である。その実態はまさしく「フリーター」であり、不安定な雇用と低賃金の下にある。
 1年ごとの契約ゆえ、きちんとした説明なしに解雇(雇い止め)されることは珍しくなく、場合によっては「理事長の妻の機嫌を損ねた」とか「好きだったのにふられた」などということが原因の場合もある。語学の教員数十人全員が一気に解雇されたことさえあり、要するに“使い捨て”の対象である。
 僕自身は3校で週5コマの授業を持って年収は150万円ほどで、あとは塾講師をして補っていた。調べてみたら、コマあたりにかかる人件費は専任教員の約10分の1で済む。都内のある大学ではパートの職員が待遇改善を求めたら「非常勤で来てくれている先生たちを見なさい」、つまりあれよりはだいぶましなのだから我慢しなさいと言われたそうだ。当然ボーナスもなかったから、この大学に来た40歳のときに生まれて初めて僕はボーナスというものを受け取ったのだった。
■労働組合の結成
 仲間4人が集って東京都区一般労働組合(現在は公共公務一般労働組合)という非正規労働者ばかりを組織している労組に加入して分会をつくり、「首都圏大学非常勤講師組合」を立ち上げたのは1996年。現在は200名弱に成長している。
 解雇問題が主に持ち込まれて多くの団交を行ったが、雇用継続や金銭解決で勝利するケースがほとんどだった。それだけ大学側が正当な理由のない安易な首切りを行っていたということである。またある大学では16年間据え置かれていた賃金を上げさせたこともある。非常勤講師がおとなしく従っていたからそのままにされていたのだ。
 不安定で弱い状況に置かれているがゆえに、声を出したくても出せなかった。つまり何も要求してこなかったから何も改善されなかったのだったが、組合の活動である意味「羊から人間に」なったのだと思う。

2.非正規雇用の拡大
■日経連「新時代の『日本的経営』」
 <専任教員/非常勤教員>という二重構造=身分差別構造は大学という特殊な世界の中の事情で歴史的に形作られたものだったのだが、一般の労働市場に同様の構造が形成されたのは財界や政府の明確な意図によってである。
 1995年、日経連によって「新時代の『日本的経営』」という報告書が発表される。そこでは、それまでの普通の正社員の待遇であった終身雇用・年功賃金・社会保障を「長期蓄積能力活用型グループ」に限定しようという方針が提起された。残りは有期雇用・年俸制の「高度専門能力活用型グループ」または有期雇用・時給制の「雇用柔軟型グループ」に格下げして、人件費を抑えるとともに“使い捨て”しやすい労働力を増やしていこうというのである。それまで正規労働者が担っていた仕事に<正規/非正規>という二重構造が大々的に取り入れられることとなった。
 結果、20〜24歳の非正規雇用は1992年には10.7%だったものが2002年には31.8%に上昇し、さらに現在は全就業者の3分の1が非正規雇用である。当初は若年者の「フリーター問題」としてとらえられて彼らの「意欲」とか「態度」に原因があるかのように言われたが、新規に労働市場に参入するのが若年層だからまず彼らに財界の方針が適用されたということだ。実際、非正規労働者が正規労働者に転身できるチャンスは大きくなく、フリーターのまま高齢化する層が増えていくから、<正規/非正規>の構造は年齢を問わないものになっていくだろう。
■労働条件全体の悪化
 1999年に労働者派遣が原則自由化され、それまで正社員が担っていた職務が派遣労働者に置き換えられる事態が進んだが、“安くて便利”だからそうなった以上、彼らの労働条件はそれに見合って“安くて不安定”だ。職場における身分差別的な扱いの事例にも事欠かない。
 2004年に製造業にも労働者派遣が解禁されたことによって今度は「偽装請負」という問題が顕在化した。派遣労働者を3年以上(製造業では1年以上)雇い続けた場合は正社員にしなければならない義務が企業に課せられているから、それを逃れるために企業は業務を「請負」業者に丸投げする形をとる。丸投げだから、企業は労災補償を含め何も責任を持たなくてよいが、請負労働者に対して指揮命令することは禁じられている。そこで雇用の形としては「請負」だが実質は「派遣」のように細かく指揮命令するという“いいとこ取り”をした「偽装請負」という違法行為が横行することとなった。
 <正規/非正規>構造は正規労働者の立場を安穏とさせるものではない。成果主義賃金によって競争に駆り立てられて過労死を生む長時間・過密労働は深刻化するし、ただでさえ「サービス残業」という名のただ働きを強いられている上に「ホワイトカラー・エグゼンプション法=残業代ゼロ法」が目論まれるような状況でもある。

3.貧困問題
■好況と貧困
 「景気上昇」に実感が持てないのは、好調な企業の利益拡大がためこみや役員報酬や株式配当にばかりまわって労働者の賃金上昇に向かわないからだ。総世帯の平均所得は1999年に649万円だったものが2004年には589万円と60万円も下がっている。貯蓄なしの世帯は4分の1にのぼり、年収200万円以下の人は1,000万人を超えた。
 「経済の活力のために格差は必要だ」などという言い方があるが、「格差」一般の問題ではなく、「貧困問題」としてとらえるべき段階に来ている。フルタイム働いてもまともに生活できるだけの賃金を獲得できない「ワーキング・プア」、そして携帯電話の連絡を一日ごとに待つ「日雇い派遣」が増え、さらに敷金などを用意できないため家を借りることのできない「ネットカフェ難民」「マック難民」も現れている。
■貧困と戦争
 貧困と、そしてそこから抜け出す希望を見出せない社会は戦争待望論をも生む。たとえば「31歳フリーター。希望は、戦争」というサブタイトルを持つ文章では次のように述べられている。「戦争は悲惨だ。しかし、その悲惨さは『持つ者が何かを失う』から悲惨なのであって、『何も持っていない』私からすれば、戦争は悲惨でも何でもなく、むしろチャンスとなる」(赤木智弘)。戦争によって最も被害を受けるのがやはり社会的弱者だという事実はあるにしても、閉塞感が破壊願望をもたらすこと自体は理解できるだろう。日本社会は今、そういう方向に突き進んでいる。
 安くて便利な商品やサービスの恩恵を受けながら、その向こう側に存在する安くて便利な労働の実態に想像力を働かせることもなく、むしろ「努力が足りない」などという視線を向けるような態度は、彼らをさらに追い詰めひいては社会全体の閉塞感を深める結果をもたらすに違いないのである。

4.抵抗・運動
■労働組合
 首都圏青年ユニオンに集った6人の組合員は、牛丼チェーン店「すき屋」の全バイト6,000人の残業代割増分の不払いを是正させた。「派遣ユニオン」や「ガテン系連帯」も活動している。全体から見ればまだまだ小さな規模ではあっても、しわよせを最も被っている立場にある労働者たちは次々に立ち上がり、闘い始めている。
 また「連合」は先頃の大会で非正規労働者に焦点を当てた取り組みを真っ先に掲げた。労働組合組織率が20%を下回っている現在、それは組織防衛のための方針ではあるのかもしれないが、<正規/非正規>の二重構造全体を克服する課題が国民の生存権をかけてのものだという点がより明らかになっているということでもあると思う。
 先に紹介した東京都区一般労働組合は「セ・パの共闘」というスローガンを掲げていた。「正規とパートの共闘」ということである。勝ち組になればいいということではなく、勝ち組をひきずりおろせということでもない闘いが求められている。
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- | 2013/08/12 12:57 PM
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102 101 2007/01/26(金) 06:24:51 WE導入が合法化されてもうちの会社は採用しないらしい。 社長曰わく鐔■廝鼎鮖箸┐仗遊鑒颪魄貉的には抑えて短期の業績は上がるかもしれないが、長期的に考えると過労によるストレスが社内に 延して全社員の全ての能力が低下し
WE導入が合法化されてもうちの会社は採用しないらしい。 | 残業「0」はイヤずら | 2008/05/29 6:14 AM
311 名無しさん@明日があるさ 2007/04/25(水) 01:11:01 ある意味この法案って逆に言うと、 営業なら良客沢山もってて、数字いってれば時間に関係なく午前中で仕事終わり って事もありで、そうなると良客もっていない営業は残業を月に160時間してもダメなものはダメ。
極端な話成果主義 | 残業「0」はイヤずら | 2008/05/04 8:38 AM
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